ミックスボイスでしか歌えなくなる方法

実践派ボイストレーニング散文録

カラオケ番組出身の歌手はなぜ売れないのか

そんな感じの質問をされたのですが、
長くなりそうなので適当に誤魔化してしまいました。
でも後でよく考えたら、簡単なことでした。

私はカラオケ番組を好んでは見ないし、
出身歌手の曲もよく知らないんですけど、
たぶん……。

曲があまり良くないから

これだけではボイトレブログで取り扱う意味がないので、強引に前提条件を付け足してみます。

曲の良し悪しは考慮しないものとして、
カラオケ番組出身の歌手が売れない理由は……?

例えば、同じ曲を複数のアーティストが歌って、
カラオケ番組出身のシンガーさんだけが売れなかった場合です。

点数取れるだけの素人だから?
本当はプロになれる才能がないから?
ゲストの芸能人のリアクションはそれがお仕事だから?

ざっと思いつくのはこんなところでしょうか。
有名なプロ歌手が自分のヒット曲を歌って80点ってことがあるそうです。

同じ曲を歌って、100点近く取れてしまっている。
20点余分に取れているせいで、プロとして30000点くらい足りないことに気がつかない。
機械採点に特化した発声法をわざと選択しているなら話は別ですけどね。

癖がないという癖。だから声が没個性。
機械の機嫌ばかり伺う。ゆえにマシンボイス。

点数で優劣が決まるのは「芸術」ではない


特徴的な声質と強い癖。つまりは個性。
それがプロレベルで魅力的なら「才能」になる。
加えて、ルックスや雰囲気も重要です。

カラオケが上手いのと歌が上手いのは別次元ですが、
そもそも「歌が上手いかどうか」でさえ、二の次三の次のような気がします。
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発声法分析:稲村太佑(アルカラ)

アルカラのボーカル、稲村太佑さん。
ギターとヴァイオリンも弾けるみたいです。

濱田岳さんや上地雄輔さんに少し似てません?
良い意味でおでんツンツン男っぽく見えるときもあります。



後上が忙しく動いており、軽快な印象の声です。
サ行(シャ行)の空気感をキープしたまま歌っている感じかもしれません。

全体的に声の響きがよく飛んでいるのは「後上」や「上」。
如月に彼女という曲は「真ん中」や「下」もやや強めに聴こえます。

これは河童に水練ですが、語尾のブレが結構気になります。
わざとじゃないとしたら下側の弱さ(浅さ)が原因だと思います。

が、

だからこそ個性的な声になっている。
外野が何を言っても、私が何を書いてもただただ空疎。

プロ歌手の正しい発声というのは「お客さんの反応」がすべてです。

ロキノン系ってほとんど聴かないので、
リクエストされなければ一生聴かなかったかもしれません。
ネタをくれた名無しさん、ありがとうございます。
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発声法分析:Fukase(SEKAI NO OWARI)

SEKAI NO OWARIのFukaseさん。
深瀬慧は別名で、慧の漢字表記は本名と違っているらしいです。

肉蝮みたいなモッズコート着て、トランシーバーで歌ってる人……。
これは何年前のイメージなんでしょうか。



メロ部分は真ん中を後とか後上とか上に引っ張っている感じ。
少年のような甘めの声質ですが、ガキ声でも喉声でもないです。

というか、地声(チェスト)が結構強いタイプだと思います。
もしかすると曲調や音域に本来の地声がマッチしないかもしれません。
地声成分(男成分)をなるべく抜く意識で、ミックスボイスになっているのではないでしょうか。
声帯を薄く大きく使っており響きも豊かです。

でもどうしようもなく大切で

後上 → 後 → 後下 → 下 → 前下

以降は前下とか前が優位になっています。

僕にあるのかい

ここでガナリ声が入りますが、しっかりと地声閉鎖です。
基本的には可愛らしい感じで、中性的な柔らかい声質に聴こえるけど、
それだけじゃつまらないから、一瞬だけ「野獣」の部分を出してくる。
人気歌い手のまふまふさんもこういう歌い方するときがありますね。

お二人ともチェスト(男成分)はしっかりと使える。
使えるけど、イメージに合わせて普段は隠している。

そこを見過ごしたまま「甘い声」とか「軽い声」を目指してみても、
なかなか上手くいかないし、似たような感じでは歌えないと思います。 
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発声法分析:平沢進

平沢進さん。愛称は師匠、ヒラサワ。
P-MODELのボーカル・ギターでもあります。
主なジャンルとしてはテクノなんですかね。
個人的には前衛音楽チックなギターソロがお気に入りです。



特に強くも深くもないですが、前下が優位のタイプだと思います。
エフェクトがキツめにかかっているので、サビとかちょっと聴き取り辛いのですが、
ファルセット系の発声は浅い前下を色んな方向に引き伸ばしているように聴こえます。

平沢さんの曲といえば……。
この曲に限らず、後半やラスサビ(繰り返しサビ)でスタミナが問題になってくる場面が多いです。
肺活量の問題ではなくて、いかに呼気のロスを少なくできるかが重要だと思います。

ライブの平沢さんを見てるとほぼ真顔で脱力をキープしつつ喉を満遍なく使っている。
なるべく下側(前下とか後下)の神経で乗り切るような歌い方をしている……はずです。
これは一例ですけど、

【マントルが】(真ん中→浅い前下)

ここから後(やや後上)に引くイメージで

【饒舌にぃ】(真ん中→後下)

みたいな意識で歌わないとラスサビで息が切れるかもしれません。
平沢さんはたぶん天然ミックスなので自然に歌っているだけだと思いますけどね。

文字だけで説明するとかなり複雑なことになりますが、
長く活躍しているプロ歌手の発声法というのは大体こんな感じです。
軽く歌っているように見えても再現するのは大変なのです。
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普通でいいじゃん!

前下? 前上? 後上? 後下?

何それ?

頭大丈夫?

こんな理論は普通じゃない。
冷静に考えてあり得ない。普通に胡散臭い。

ごもっともです。普通の日本人の平均的な感想だと思います。
実際に正しい位置を体感するまでは「オカルト概念」に過ぎないかもしれません。
種を明かせば、フースラーとかチェザリーの手法とたいして変わらないんですけどね……。

だからこそ、

中級者以下が【テキトー】に手を出すと変な癖がつく危険性があります。
中級者以下……凡人タイプと言い換えましょうか。

普通

どこにでもあるような、ありふれたもの。
普通がありふれているからこそ「特殊」が際立ちます。
特殊……天才タイプと言い換えましょうか。

天才

天賦の才、生まれつき備わっている優れた才能。
凡人の平凡な努力では届かないレベルの能力。

努力の天才? 努力した凡人は、努力しない天才に勝る?
しかし天才も努力します。努力する天才……圧倒的な強者です。
というか、天才タイプは努力を努力と認識していないようです。

好きなことやってるだけ

歌が好きだからいつも歌ってる。
ギターが好きだからいつもギター弾いてる。
練習の方向性はだいたい“最適解”。
必要な要素は勝手に揃っていく。

好きこそ物の上手なれ……天才の上達過程です。
下手の横好き……説明不要です。

誰もが「何かの天才」かもしれませんが、
とある分野に限定すれば、99.9%の人間は「普通」です。

例えば普通の人生、普通の家族、普通の幸せ。
普通の人が普通に働いて、普通のマンションを住宅ローンで購入する。
何の問題もなく完済できる「普通の人たち」は全体の何割程度だと思いますか。
地域にもよりますが、大半のご家庭は「普通未満」です。

普通って評価されると少し馬鹿にされている気分になるかもしれませんが、
普通って結構……いや、かなり難しいのです。

“*****”みたいな量産型の声にはなりたくない!

その気持ち、わからないではないですが、
大半の普通の人は「量産型」になるのも難しいのです。

能力値も経験値も低いのに、理想とプライドばかり高い。
成長を求めながら変化を恐れている。やることなすこと全部ズレてる。
ごっこレベルの似非努力がいつか報われると信じている。

歌うことが好きだから、絶対に諦めたくない……!

まるで漫画の主人公みたい。
厳しい現実を知った瞬間にソッコーで逃げ出す人の台詞です。

絶対に諦めない、のは個人の勝手ですが、
精一杯頑張ったって、どんなに足掻いたって、
そのままではどうにもならない段階や性格ってのが【確かに】存在します。
99.9%の普通の中にも、それぞれに大きな格差があるのです。

普通に上達する人と時間を無駄にする人。

感覚が鋭い人と鈍い人。
地頭が良い人と悪い人。
モテる人とモテない人。
誠実な人と不誠実な人。

普通の発声練習だけではどうにもならない。
そもそもが何かを成し遂げるのに向いていない普通の人。



現実に戻りなさい。

普通にカラオケを楽しみなさい。
普通の先生に習いなさい。

喉声歌唱、でも普通に上手いじゃん。
普通に上手い、で全然いいじゃん。



普通の人が分不相応に【その先】を目指したいのなら、
そんなに甘えは許されない、と真摯に理解してください。
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