ミックスボイスでしか歌えなくなる方法

実践派ボイストレーニング散文録

ヘッドボイスとミドルボイス、どっちにも聴こえる声?

ヘッド成分もチェスト成分も強ければ、
聴き手の思い込み……どこの成分を主に聴いているかで、
ヘッドボイスにもミドルボイス(チェストボイス)にも聴こえることがあります。

ヘッドとして聴いた場合……え? なんかしょぼいな? 
あ、ミドルだった……化け物だわ、みたいな。
その逆も然り、みたいな。

有体に言えば、高域用の耳か低域用の耳か。
これ、両方同時に聴き取るのは人間には難しいんですね。

私が出した聴き取り問題では過去に1問だけこれ系のがありました。
もちろん、どちらも正解にしています。

プロ歌手でわかりやすい(混乱しやすい)のはfhanaのtowanaさんとか。



どんな声質に聴こえます? 澄み切ったハイトーン? 裏声的? ちょっと細い?
私には「暴力的な女子中学生」に聴こえることがあります。



こっちの方がわかりやすいかも。

ヘッドボイスだと思って聴くと……ちょっとキンキンしてるかも。サビでコーラスと被るかも。
ミドルボイスだと思って聴くと……?

はい、そういうことです。

空を聴くか、陸を聴くか。
聴こえ方が全然違いますよね?
二人のボーカリストが同時に歌っているようなものです。

towanaさんレベルは珍しいけど「声質が武器」な歌い手はだいたいこのタイプに該当してるような気がします。
男性歌手だと、稲葉浩志さんとか草野マサムネさんとかhydeさんとか秦基博さんにも似たような特徴があると思います。
過去記事にも書いてますが、どちらか片方しか聴けてないと下手なモノマネにすらならないってことです。



この発声状態だけを「ミックスボイス」と呼ぶのなら、習得のハードルはあまりにも高いです。
でも……私はそれをやらせたい。できれば全員、そのルートに乗せてあげたい。
ルートにさえ乗ってしまえば、ヘッドボイスもミドルボイスもベルティングもあっと言う間(二週間くらい?)に通り過ぎて行きます。

だから「地声に聴こえる裏声」なんて存在しないと書いているのです。
そんなものが存在してしまったら、あなたの可能性を殺してしまうから。
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歌唱法解説:Lia/鳥の詩

2000年に発売された美少女ゲーム『AIR』の主題歌です。
大ヒットしてアニメ化もされて、一部の界隈ではこの主題歌を「国歌」などと呼んでいるそうです。

なんと不敬な!

確かに良い曲なんですが……。
普通の男性が歌うにはちょっと無理があると思います。

鳥の詩 男

で検索するとたくさん音源は上がっているのですが、

・地声と裏声
・男声と女声
・ミドルボイスとヘッドボイス

最低限このくらいの分離・確立・融合がそこそこ進んでいないと、
口先や鼻先で頑張っても「うるさい」か「キモい」しかないと思います。
原曲歌手のLiaさんは後下が強めのバランスに聴こえます。

Lia/鳥の詩



Lia/鳥の詩(エフェクトなし)



後下>>後上>前下>>>>>前上

発声筋群選択の優先順位です。
発声バランス(声帯の引き方)は一音ごとに変えてますが、
高音のロングトーンはほぼ「後下」で処理してます。
じゃないと喉がどんどん上がって行っちゃうので。

複雑だけどわかりやすい(素直)歌い方してるので、
脱力検定上級までクリアできる人は声真似するだけで似たような感じになるかもです。

消える“ひ”こうきぐも

ジャンプする音程は「一瞬だけ」上とか後上を意識してます。

最低音が「mid1F#」と女性曲にしては低めなので、
裏声だけで歌ってる人とかバランスが上擦っている人はフガッて鳴るかもしれません。

Liaさん本人は「後下」とか「下」で処理しているみたいです。
私が同じようにやると低音成分が出すぎてしまうので「伸展解きつつちょっと後」みたいな意識で軽くいなしてます。



関連記事を列挙しようと思いましたが、
結局のところ発声総合力が問われてくるので、ブログの記事は全部読んでおいた方が良いと思います。
テキスト容量だけならライトノベル2冊分程度です。たぶん『AIR』の半分もないはずです。

まあ、面倒でしょうけれども、
どの記事の何が「後から効いてくるか」なんて、
書いてる本人にも完全には予想できていませんので。
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後下マン

我が名は後下マン。
またの名を後下暴走マン。

こもる。重い。深い。暗い。無駄に。

後下の発声筋群は「ここです!」と誘導している音源です。
場所がわからない(わからなくなった)人は参考にしてみてください。

十田敬三/デビルマンのうた



裏切り者の名を受けて 全てを捨てて戦う男

そんな男の声がヘロヘロに上擦るわけがない!
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歌唱法解説:米津玄師/Flamingo

米津玄師/Flamingo



米津玄師/Flamingo(エフェクトなし)



たぶん細かい音程が違ってます。歌詞も間違えてます。
ほぼ初見で挑戦するにはちょっと難しすぎました。
原曲通りに歌いたい人は原曲をきちんと聴き込んでください。

基本的にはチェスト強めのネイゾル発声……かな?
歌ってみればわかるんですけど、結構複雑なので「コレ」って指定できる発声法はないです。

いくつか要点というか……。
それっぽい雰囲気を出すために「こうかな?」って思ったことを紹介します。

まず初っ端の「宵闇に」。
曲中に何度か出てくる民謡っぽい(?)歌い回しです。

“い”よいやみにぃ “ひょ”いやみにぃ

どっちでも好きな方でいいですけど、
発声基点は「後下」。歌いだしに「後上」を一瞬だけ強く固めるイメージです。
一瞬だけ喉を締める、に近いかもしれません。

この組み合わせで上手く行かないフレーズ(たぶん地獄の閻魔のとこ)は、
逆に「後上」を基点にして音程が上がるところで「後下」を一気に入れてください。
後上から後下に「移る」のではなくて後上に後下を「強引に付け足す」って感じです。
上手くいけば絶妙に破綻気味な、あのカッコいい感じが出ると思います。

あとは、
低音部分できちんと音を下げること。いちいち“神経を切り替えて”声のトーンを落とすこと。
チェスト音域が適度に回ってくるはずなので、それを意識していれば喉仏が上がりっぱなしってことも防げると思います。

鮮やかな Flamingo

寂しさと嫉妬ばっか残して
毎度あり次はもっと大事にして

強調したいのはここらへんのフレーズですね。
意識するのは、前下でも後下でも後でも下(本当はよくない)でもいいんですけど……。
私は使えるところは「後下」をメインに意識してます。
じゃないと原曲の気だるい感じが出せないので。

米津玄師さんの身長、188cmらしいです。
とにかく「大人の男の声」が使えないと、この曲は雰囲気が出ないと思います。
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焦るな、のんびりするな

もう少し足掻いてみます
自分で試行錯誤してみます

その意気や良し!

が、しかし、
みんな独学したがるわりには、
試行錯誤なんて全然できてません。

例えば、

チェストボイスの感覚がどうやってもわからない

じゃあどうするの?

うつ伏せで発声してみるとか、
逆立ちして発声してみるとか、
眠いときに発声してみるとか、
腕立て伏せの限界付近で発声してみるとか、
射精した直後に発声してみるとか、

発声感覚が未熟で、喉周りだけでは感覚を掴める気がしない。
それなら身体や頭を使わなきゃ。色々やらなくちゃ。

自分が思いつく限り、別に何やったっていいのに、
自分で作ったルーチンやネットで聞きかじった発声常識に縛られてる。

独創性の乏しい人間に独学は難しいし危険です。
不測の事態にまるで対処できないから簡単に喉を痛めます。
喉の問題だと思っているから「喉声」になるのです。

私自身は完全独学で10年以上やってますが、
誰かの御守を10年以上も続けられるか、なんてわかりません。
先は長いです。先は長いからこそ「私の耳」がいつまでも貸せるかなんてわかりません。

今はまだ若いからって油断してると……。

光陰矢のごとし。
ロシア女性の美しい時期は一瞬で過ぎ去るという意味です。

ようやく人前で歌える自信がつきました
……来年還暦です

遅すぎるってことはないけど、明らかにピークではないでしょう。
発声改善は老化との戦いでもあります。あなたと「私」のです。

コメント欄やレッスンでやりとりできるうちに、
とっとと独学できる素養や判断基準を身に着けておかないと、
本当に時間とお金の無駄使いになるかもしれませんよ。

私はもう若くないんですからね!





音源墓場

最初に思いついた、このブログのタイトルです。
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