声帯を引く方向

地声、裏声、ミックスボイス、すべて声帯を引く方向が違います。
声帯を引くというより「喉仏を引っ張る」の方がしっくりくるかもしれません。
詳細を語ると専門用語だらけになってしまうので、自分の感覚をできるだけ簡単に伝えます。

前に引く……地声。地声成分。低音。閉鎖筋群。
後に引く……裏声。裏声成分。高音。輪状甲状筋。
上に引く……ハイラリンクス。高音。甲状舌骨筋等。
下に引く……ロウラリンクス。低音。胸骨甲状筋等。

喉仏を引っ張るには多種の筋肉を使います。
地声と裏声。つまり前と後。この2方向を同時に引けない限り、ミックスボイスは成立しません。
各筋肉をバランス良く使うには、脱力はもちろん「緊張」と「均衡」が重要です。
ここらへんは各自で試行錯誤して感覚を磨いていくしかないです。

チェストボイス……軽く後(後上)に引っ掛けたまま前(前下)に引く。
ミドルボイス……前後で引っ張り合う。バランスの自由度は高い。
ヘッドボイス……後(後下)に強く引き込まれるところを少し抵抗する。

ロウラリやハイラリを意識するなら、同時に3方向や4方向にも引くことになります。
声種やフレーズの繋がりによっては6方向くらい引かなければならないケースもあると思います。
多方向に引ければ引けるほど声のバランスは良くなり、良い意味での個性が出るはずです。
言葉で説明するのは難しいのですが、ハンモックの支点を増やしていくイメージに近いかもしれません。
そして「喉を開く」ということは発声の極意でもあり、各種の筋肉に繋がるロープを掴んでいる状態でもあります。
このフォームが安定しさえすれば、あとは「脱力」と「響き」を重視して歌い込んでいくだけです。
センスのある人だと自己分析だけでどんどん上達するので、誰のアドバイスも必要ありません。
自分の耳よりも優秀なボイストレーナーなんて存在しないのです。

センスのない人は一方向だけ、そこそこ歌える人でも二方向くらいしか引けません。
というより引いている感覚が分からない人がほとんどだと思います。
というか引いている感覚なんて必要なかったりします。
結果として「良い声」が出せているならそれで問題はないのです。
良くない声だから問題があり、その主な原因は声帯を1方向にだけ強く引いているからです。
例えば「ジャイアン」や「志村」や「エルモ」。これ全て「喉締め発声」の特徴でもあります。
解決策はもうおわかりですよね。喉をきちんと開くことです。アクビの喉をキープすることです。

私は元来、合理性を尊ぶ人間です。伊達や酔狂で同じことを何度も言いません。
ナンチャラ筋だのナントカの定理だの、実のところ歌にはあまり関係のない知識です。
難しいことなんて忘れていいので、とにかく喉を開いてください。
歌に関するほとんどの問題はそれで解決するはずです。
解決しない場合は「喉の開き方」が悪いのです。
関連記事

 Comments

Leave a comment