歌唱法解説:ネイゾルミックス
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ネイゾルミックス・ネイゾル唱法とは
ネイゾル……鼻の、鼻声の、鼻音の。
ネイゾルミックスとは、いわゆる鼻にかけたミックスボイス。
鼻腔共鳴を強く意識した軽やかで個性的な声を意味していると思います。
取り扱っているボイトレ教室だと鼻を摘んで練習させたりします。
A.椎名林檎/歌舞伎町の女王
こんなのはただの「鼻声ミックス」です。
ネイゾルミックスには違いないですけど、わざわざ解説するまでもありません。
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B.似非黒人風ポニョ
今回解説するのはこちら。
たまに「黒人特有の響き」とか言われる方のネイゾル発声です。
AとBの違いがよくわからない人……基礎練習に戻ってください。
この記事は初級者以上を対象としています。
耳が育っていて基本ができている人でないと、高確率で「変な癖」がつく練習法です。
真似してハイラリや志村が悪化しても私は責任を取りません。
関連記事:「悪質なミックスボイスに注意!」
ネイゾル自体が日本では一般的ではないし、私が教えるネイゾルミックスは我流であり似非です。
本格的なのを学びたい人は黒人のゴスペルトレーナーでも探してください。
ソウルフルに歌えばいいんだよ、と教えてくれると思います。
そこらへんの理解と覚悟ができている人だけスクロールしてください。
黒人特有の響きとやらは「虫の声」に聴こえます。
そして黒人のネイゾル発声には「ハイラリンクス」がセットのように思えます。
強い鼻腔共鳴と高い喉仏の位置……。加減を間違うとかなり危険です。
そして「加減」を言葉で説明しようとすると複雑過ぎて誤解を招きます。
あなたは初級者以上ですよね? センスもそこそこ良い人ですよね?
まず、喉の筋肉や声帯云々は全部忘れてください。
この歌唱法に関しては細かいことを考えない方が上手くいくと思います。
いったんお馬鹿になって、聞こえるままの音を原始人のように真似してください。
蝉の声
眉間から声を出すイメージです。
下と上の響きが同時に出ていますか?
聞いたそのままを再現できない人はここでストップです。
無理して続けると悪影響なので基礎練習に戻ってください。
蝉の声(下降)
音階を下げても高周波は維持できていますか?
これができているなら、もうマスターしたも同然です。
この響きを通常歌唱に取り入れる加減法に移ります。
1.子門真人/およげたいやきくん(しかめ面:ネイゾル)
蝉の声の延長線上でこんな感じのキモ声を出してください。
重要なのは喉仏の位置ではなく「思いっきり顔をしかめる」こと。
2.子門真人/およげたいやきくん(真顔:脱力)
しっかりと脱力して、1の対極みたいな真顔で太く歌ってください。
1は似たような声なら誰でも出せると思いますが、2はできない人がほとんどだと思います。
これが初心者お断りの理由です。
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1と2が正しくできているなら、後はそれらを混ぜ合わせるだけです。
ミックスボイスとミックスボイスをミックスする作業です。
これも感覚的に行きます。しかめ面と真顔を加減して混ぜ合わせるのです。
3.子門真人/およげたいやきくん(ネイゾル強)
なんか臭くない? って感じのしかめ面だとこんな感じで。
4.子門真人/およげたいやきくん(ネイゾル弱)
ちょっと眩しいかも って感じのしかめ面だとこんな感じです。
混ぜる比率によって声の響きが変わるので「色々な顔」を試してみてください。
要素が揃っていれば数時間で馴染むはずです。
上手く行かない場合は発声要素が足りません。基礎練習に戻ってください。
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