歌唱法解説:フェイク・メリスマ

fake……偽造
faker……いかさま師

歌唱技術でいうところの「フェイク」はyeahhhとかfuuuuuとかで曲の合間を埋めたり、リズムやメロディーを崩して歌うことである、と一応定義します。
個人的にはフェイクというより「フェイント」の方がしっくりきます。
相撲でいう「猫だまし」みたいな小賢しいテクニックなので、あまり多用すると聞き手の素直な感想としては「なんかムカつく」ってなります。
どれだけ歌が上手くてもナルシスティックで独りよがりな印象を与えがちです。

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SMAPのライブ映像を見てみてください。
やたらと癖の強いアレンジをする人がいませんでしたか?
あなたが「普通に歌えば?」と思ったポイント、それこそがフェイクです。

いまいちピンと来なかった人のために極端な例を上げておきます。

SMAP/$10(フェイクなし)



SMAP/$10(フェイクあり)



フェイクによく用いられる「フレーズの揺らぎ」をメリスマと呼びます。
日本人に馴染み深いところでいうと「こぶし」みたいなものです。

SMAP/青いイナズマ(揺らぎなし)



SMAP/青いイナズマ(揺らぎあり)



このように。
完全に排除すると味気なく、乱発すると鬱陶しい装飾技術です。
フェイク(メリスマ)で大切なのは……。

さりげなく
やりすぎない

A.SMAP/夜空ノムコウ



B.SMAP/夜空ノムコウ



言わずもがな、Bはアウトです。



フェイク・メリスマの練習法


突き詰めていくとアレンジ力……作曲能力が問われるので、そこらへんはまあ置いといて。
とりあえずメリスマの音程変化が上手くできない人のために、詩吟アプローチを紹介します。

詩吟なんて歌えないよ、って人も大丈夫。私も歌えません。
課題曲は名曲「タカスギ」。歌詞は「タカスギ」の四文字だけです。

タカスギ



タカスギ(分解)



説明するまでもなく、この音源だけでメリスマのカラクリは理解できたと思います。
ネイゾル唱法で歌うとそれっぽい雰囲気が出るのは詩吟もR&Bも同じだったりします。
サンプル通りに歌う必要はありません。私も歌いやすいように原曲から崩しています。

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音楽的に正しいかどうかは二の次です。
第一に「滑らかな音程変化」を重視してください。
次に「違和感のないメロディー」を追求してください。

違和感がどうしても消えない人はペンタトニックやブルーススケールを勉強してください。
ブライアン・マックナイト(Brian McKnight)あたりを聴きまくるのもオススメです。
というか、耳の良い人はそっち系の黒人歌手をコピーするのが一番だと思います。

マックナイト風(?)



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