アウトレイジメソッド

※方向を間違えると(合ってても)喉を痛めやすい練習法です。
※試してみる人は力加減や喉の違和感に十分注意してください。

演技や歌唱に必要な「怒り」の発声感覚


役者にとっても歌手にとっても、重要な表現である「怒り」。

ドスを利かせる≒チェストを入れる

激情に任せてチェストボイスを鍛え、ついでにチェスト成分のコントロールを身に付ける練習法です。
ハードロック系が歌いたい人はやってみた方がいいかもしれません。

関連記事:「地声に聴こえるミックスボイス

まず「ドスの利いた声」が分からない人は、前歯を噛み合わせたまま話し声よりも高めを意識して怒鳴ってみてください。
ムカついたことや嫌いな人間を思い浮かべて、実際にメラメラと怒りの炎を燃やしてください。
そこそこの声量が出るはずなので、慣れないうちは感情がついてこないと喉を痛めやすいです。

てめえらがたがたうるせえんだよ!ばかやろう!



閉じた前歯は「口先発声矯正ギブス」の意味を持ちます。
喉の奥で作った芯のある声しか出せなくなるはずです。
ドスの感覚が馴染んだら、普通に口を開けて発声してください。



お手本は「クローズ」とかでも構いません。
台詞だけではなく表情や仕草も真似てみると良いと思います。
慣れてきたら弱から強へ。ドスの入れ方を何段階かに分けてみてください。

温厚な人間がぶち切れる過程



まったく迫力を出せない。どうしてもドスが利かないって人は……。
喉の機能に異常がなければ、おそらくは性格的な問題だと思います。

怒れない人は本っ当に怒れません。
心が穏やかな人は素敵ですが、あまり役者や歌手には向いていないタイプかもしれません。

いつでもフラットで達観している俺。

そういう自分を演出しているつもりなら、悪いことは言わないので改めた方がいいです。
人間は感情の動物です。歌うことも感情表現の一つです。恥ずかしがらずに感情を出してください。

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虚勢でもハッタリでも良いんです。
無抵抗は「悟り」ではなく「逃げ」です。
やる時はやる。大切なものを守るためなら荒事も厭わない。
一般人でも当然持っているべき必要最低限の暴力性を手に入れてください。

いじめられっ子にやり返せって言っているようなものなので、かなり酷な話なのですが。
苦手なバイオレンス作品を見まくるなり、まったく興味のない格闘技を始めてみるなり……。
しっかりと法律を遵守して「強い男のフリ」ができるように色々と頑張ってみてください。

怒らない動物はいません。
しかし本気で怒る必要はありません。
どんなボイトレをやるより劇的に歌が上手くなるはずです。





リアルアウトレイジについて


余談ですが、リアルで怖い人とエンカウントした場合……。
私が上げたサンプルだと最初の段階、かすれ声みたいな怒り方をする人が一番ヤバイです。

こういうのは威嚇行為なので「弱い犬ほどよく吠える」という傾向があります。
殴り合いをしたくないから大声を出すというか、騒げば周りが止めてくれるだろう、みたいな感じです。
なので「小さい声しか出せない人」と「大きな声を出す必要がない人」を混同すると大変危険です。

本当に怒っている人はあまり怒鳴ったりしません。
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