声を回す=ジラーレ?

声を回す。息を回して声を出す。
いわゆる声楽用語の「ジラーレ」だと思っていたのですが、いくつかの解説を読んでみると微妙に違っているような気がします。
これがジラーレです! って実践している人の声が「ほとんど回っていない」からです。

A.LUNA SEA/END OF SORROW(無回転)



声の響きが不気味なほどに動かない。
声帯を小さく使っているので音程は合わせやすい。
繋げば線になる「点線の歌唱」。ロングトーンも平板でブランコほども揺れない。

B.LUNA SEA/END OF SORROW(過回転)



一音単位で作用する筋肉を変えており、響きが気持ち悪いほどに動いている。
声帯を無駄に大きく使っており、ひけらかしているみたいで少々鼻につく。
大きく円を描く「曲線の歌唱」。下から上からジェットコースターのようにジャストの音階を通過する。

AもBも極端な歌い方なので、実際は中間程度の人が多いはずです。
それぞれに癖があるし好みの問題とも言えますが、発声筋群をよりコントロールできているのは「B」です。
Aみたいな歌い方しかできない人は色々な要素が足りていないので、例え機械の採点が良くても「歌ウマ」とは認識されないと思います。
私がワンフレーズ聴いた時に「おおっ」と思うのは明らかに「B」です。

Aに足りない要素とは「声帯の使い方」であり「自由な選択肢」とも言えます。
それらは余裕で歌える音域だからこそ、自由に選べますし遊べますし学べます。
Bみたいに歌える人でも高音域になると選択肢が徐々に減っていきます。
にも関わらずAみたいにしか歌えない人がいきなり高音域に挑戦すると……?

ね? チェストボイスって大切でしょ?

甲高いだけの声なら猿でも出せます。
ミックスボイスと歌の上手さは直接関係ありません。
何かが足りない。その隙間はチェストボイスの充実で埋まる人が多いのです。



次にミドルボイスの例を紹介します。
裏声寄りで歌っているので響きの移動が分かりやすいはずです。

A.水樹奈々/ETERNAL BLAZE(無回転)


B.水樹奈々/ETERNAL BLAZE(回転)


C.水樹奈々/ETERNAL BLAZE(回転)


D.水樹奈々/ETERNAL BLAZE(回転)



時計回りだったり、逆回りだったり、前後上下にとっ散らかったり……。
全部歌い方を変えているつもりなので、声の響きを追いかけてみてください。
抑揚や情感が豊かに聴こえがちですが、声帯の使い方を適当に変えているだけで勝手にそうなります。
B、C、Dの落差や変化に感情は伴っていません。私は悲しい歌を無表情で歌いながら、声の響きで「うんこ」って書くこともできます。
リアルな情動は覚醒のトリガーとなり得ますが、心身を適度に切り離さなければ歌には使いづらいです。
発声筋群を制御できていない状態では感情をどれだけ込めても空回りするだけだ、ということです。

鳥肌が立つような歌声……の正体も、
聴いている人の首筋や背中を優しく撫でるような「声の響きの移動」ではないかな、と少し思っています。
関連記事

 Comments

Leave a comment