声の二面性

地声と裏声。表声と裏声。
きっちり分けて混ぜ混ぜしましょう。
正しいミックスボイスの出来上がりです。

一応完成はしたけど何か違う。思ってたんと違う。
リズムや音程が合っていても、何か物足りない。
ベルトコンベアに流されるがままに製品チェックを通過してしまった。

量産化された歌声。俗に言うマシンボイス。
地声と裏声だけでは、生物として不自然な「場合」があるのです。

地声と裏声が中途半端に混ざっていても魅力的な声は魅力的です。
裏声(ファルセット)が苦手な有名歌手なんて何人もいるはずです。

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歌ウマ……地声と裏声が繊細に結びついている。羨ましい。
歌ヘタ……地声と裏声が粗略に絡みついている。かわいそう。

私が「正しい方法とやら」を押し付けるのは「間違った方法」よりはマシだからです。
何度も書いているように、出音が良ければ問題はありません。
分けたり混ぜたりする材料を「地声」と「裏声」に限る必要もないです。

男と女
天使と悪魔
不良と優等生
剣道部と応援団
水商売と土木関係
クレーマーとクレーム処理係

要素を同時に使えば立派なミックスボイスになるでしょう。
いちいち分ける必要はないかもしれません。
二面性のある人間は魅力的だと思います。
二面性のない人間なんて、まず存在しないからです。

地声と裏声

これだけが「人間の声」だと思い込むと、地声と裏声がともに萎縮します。
苦労して手に入れたはずの「喉の自由」は狭苦しくて退屈なものになります。

目の前に高い壁がある。
ぐるりと壁に取り囲まれている。
声が良く響く。自分にだけ良く響く。

あなたは枯れ井戸の底で歌っている。

世界の形は円筒。自分の世界には自分しかいない。
力いっぱい声を張り上げても、誰にも何も伝わらない。
空は青い。だから足元の光に気がつかない。

四方にそびえる喉声の壁。
蓋を閉じれば、ボイトレマスターの墓。

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