正しい発声と使える声

正しい発声だけでは人は感動しない


正しい発声だけがいつも正解とは限りません。
ロックバンドで声楽をやられても観客は「はあ?」です。
狂気や殺意を表現するのに「喉締め」以上のテクニックはありません。

正しい発声、理想的なミックスボイス……まあ、それはそれとして。
ジャンルや環境により、正しい発声だけでは物足りない場面はあります。
オペラ歌手だからといってオールマイティではないし、ラッパーやデスボイサーは「普通に歌うと下手」だと思われがちですが発声のレベルは高かったりします。

悪い発声しかできなくてもそれを貫く人。
正しい発声もできるのにあえてそれを選ぶ人。

実際はどちらかわかりませんが「悪い発声」のままプロになった歌手はもちろんいます。
よく例に上がるのがスティーヴ・ペリーとカート・コバーン。
二人とも息漏れのある発声で時には危なっかしい歌い方もしますが、
それぞれが「超個性」であり「世界的に成功した歌手」でもあります。

プロの歌手は自分の声をお金に換えます。
歌手歴=声帯の寿命を削り続けた年月です。

もちろん正しい発声の方が長く歌えますが、
その発声法を選んだ自分の声が聴衆にとって無価値なら……。

鼻声でも多少喉が締まっていても「魅力的な声」であればそれは「使える声」なのです。
そしてライブツアーや過密なスケジュールに追われる人気歌手だからこそ「悪い発声」のデメリットが出るだけで、
たまにカラオケで歌うくらいの素人であれば「悪い発声」を気にする必要なんてサラサラなかったりします。

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ブログの主旨に反するような内容ですが、これはこれで私の本音でもあります。
しょせん趣味なのである程度は妥協するのも正解です。
自分の歌を聴いてみて「これでいいじゃん」と思ったらそれでいいのです。

売れている歌手のほとんどは「クセのある声」です。
正しい発声の行き着く先は……のような「量産型の声」かもしれません。
出音が良ければ問題なし! あらゆる楽器に共通する真理だと思います。

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あなたが「いいじゃん」と思った声はぜひ使いましょう。
その使い方のためにこそ「正しい発声」が役立つかもしれません。
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