歌唱法解説:米津玄師/LOSER

米津さんの曲って全般的に難易度が高い(だからこそ練習になる)のですが、
この曲はテンポが速くて歌詞が詰まっているので喉声化(上側が暴走)する危険性があります。
ご本人の「軽妙洒脱」な雰囲気を上辺だけで取り繕ってしまうのです。

米津さんといえば……基本ダルそう。
退屈。倦怠。アンニュイなニュアンス(下側の意識)を忘れてはいけません。

米津玄師/LOSER



また、歌詞間違ってるし。
レッスンで何回も歌ってるのに……。

それはさておき、
この曲に挑戦して調子を崩した受講者さんを4人ほど見てます。
つまづきや失敗も良い経験なので、よほどでない限りは「禁止令」みたいなのは出しませんけど……。

三歩進んで二歩下がる。
あるいは三歩……ややもすると四歩下がってる。
短期間ならまだしも、三ヶ月とか半年くらいのスパンだと……。

もう一回もう一回行こうぜ

とは気軽に言いづらい状況です。

良い方にはなかなか進めないのに、悪い方には一気に驀進する。
聴き取り能力や発声感覚が育ってない(喉に追いついてない)と、行ったり戻ったりを繰り返すことになります。

まあ、そういうものです。

としか言い様がありませんので、
途中で諦めてしまうのも間違いではないと思います。

LOSER 負け犬

失敗した彼らの歌声には「どうせ」とか「しょせん」みたいなダウン系の成分が少ないです。

感じるのは焦りや緊張。歌詞を早口で必死に埋めてるだけ。後上が暴走して喉声化。
その状態のまま前上を強めるからサビは志村発声になる。歌としてはメロから破綻している。

米津さんのバランス(前上⇔後下)は絶妙なので、
後上が邪魔すると雰囲気が全然出せなくなります。

基本は鼻先から後下方向。

いつもどおりの えっつもどおりの

いつもどおりの発声で「えっつもどおり」って聴こえるシムラ加減を探してみてください。
サビからは前上を強めて(喉仏を上げて)、全音鼻にかける意識。

ずっと前から“聞こえてた”

ここでは前下を強める。チェスト張り下げ。
必死になるのはこの部分だけです。硬くなりすぎて(後上に頼って)喉を締めないように注意してください。

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