発声法分析:アクセル・ローズ(Guns N' Roses)

世界的に有名なロックバンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」。
そのボーカルを務めるアクセル・ローズ(W. Axl Rose)。
ローリング・ストーン誌が選ぶ「歴史上最も偉大な100人のシンガー」の第64位らしいです。



こちらは1988年。

超絶個性的。一聴して“変な声”。
でも好きな人にはたまらない、癖になる声。
じゃないと彼らのアルバムは何千万枚も売れません。

アクセル・ローズはシムラ発声!


みたいに思ってる人がいるみたいですけど、
見当違いも甚だしいです。

強いのは後下と前上。
表情やライブパフォーマンスからも推測できるのですが、
深くて重たい後下を鼻先まで引き伸ばしている感じ。
意識していないと「シムラ要素」は抜けてしまうのではないでしょうか。

A.Guns N' Roses/Welcome to the Jungle(前上優位)



B.Guns N' Roses/Welcome to the Jungle(後下優位)



しっかりとした土台のある人がわざとそのニュアンスを使っている。
頑張ってもそれしか出せない人だと「世界的なプロ歌手も自分と同じ発声法」だと思い込んでしまう。

まさに「できない技術は聴こえない」ですね。
まずはBのニュアンスで歌えるようにならないとスタートラインにも立てません。
寄り道ばかりしているとスタートラインに立つ前に寿命が尽きます。



こちらは2014年。

後下方向が優位になっており、
88年に比べると声の響きが下擦っていますね。

アクセル・ローズは身長も低くないし、
低音もそこそこ出るタイプなので、もともとの歌声はこちら側かもしれません。

ところで、

シャナナナナナナナナナナナ?

シャラララララララララララ?

どっち?

88年のは「シャララ」っぽいんですけど、
14年のはどっちとも取れるような……?

前上が強めに入ってるので「シャララ」が「シャナナ」に化けてる感じ?
私は「シャララ」で発声してます。初めから「シャナナ」の意識だとなんか女声っぽくなって歌いにくいんですよね。

このフレーズに限った話ではありませんが、
舌が回らない(追いつかない)場合は舌の器用さの問題ではなくて、
発声法(バランス)の選択ミスが考えられるので、いったん立ち止まって他のルートを探してみると良いかもしれません。

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