発声法分析:米良美一

もののけ姫でお馴染み。
世界的にも評価されているカウンターテナー歌手、米良美一(めら よしかず)さん。
宮崎県西都市のご出身。オネエ系のタレントとしても活躍されているそうです。

とっくの昔に紹介していたつもりだったのですが、こんなに有名な人を忘れていました。
リクエストをいただいたO.K.さん。ありがとうございます。



体格も歌唱経験もあまりに違いすぎて、
まともな分析ができるかどうかは怪しいところですが(米良さんに限った話ではありませんけど)

強いのは後下と前下。
綺麗だけどわりと暗さのある歌声。
基点になっているのは浅い前下のように聴こえます。

ハイトーンでは後側(主に後下)と前下を強めに拮抗させている……かな?
前上は後下に反応しているぶんだけで、ヘッドボイスに聴こえるほど関与はしていない感じです。

カウンターテナーとは、
声変わりした男性がファルセットやヘッドボイスを用いて、女声パートを歌うことを指すらしいのですが、
米良さんの歌声はどちらというと地声寄りだと思います。カウンターテナーの中でもレアな存在かと。

再現なんて不可能なんですが、一応やってみるとこんな感じです。

A.米良美一/もののけ姫(前下⇔後下+後上)



軽く歌っているように聴こえるかもしれませんが相当キツイです。
一曲通して歌うのは私には無理です。

B.米良美一/もののけ姫(後下⇔前上)



いわゆるヘッドボイス。裏声。
カウンターテナーの定義に沿った歌い方だと思います。

アンザッツの6番……もののけ姫みたいな声。
この目的意識だとBの方向性で合っているはずです。

C.米良美一/もののけ姫(後下⇔前上:チェスト張り下げ)



BとAの中間って感じ。
喉や身体の負担はAに比べればマシだけどBよりは辛いです。

厳密に言えば米良さんはAでもBでもCでもないはずですけど、
ボイストレーニングでよく用いられがちな「もののけ姫みたいな声」の範囲って結構幅があると思うのです。



小さな身体で難病大病と戦い続け、
発声を継ぎ接ぎして最後まで歌い続ける。

輝かしい歌唱人生です。歌の神様には愛されているのでしょう。
しかし、米良さんの担当はかなりのサディストみたいですね。

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