発声法分析:グラハム・ボネット(Graham Bonnet)

イギリス生まれのロックシンガー、グラハム・ボネット。
レインボーやアルカトラスのボーカリストとして有名で、
日本では「やっさん」の愛称で親しまれています。



こちらは1980年。

強烈で暑苦しいガナリ声。
hi域に聴こえない太さのハイトーン。

グラハム・ボネットは地声が高いタイプではなさそうだけど、かなりハスキーな声質です。
ムラがあるしライブの再現性が低めなので、本人の意識としては地声を張り上げているだけかもしれませんが……。

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喉が特殊な人の「張り上げ系ミックス」かもしれないので、
普通の人が真似して本当に喉声やチェストを張り上げてしまったら、
喉を潰す前に脳の血管が切れてしまいそうです。

どうにかこうにか「地声に聴こえる範囲」に声帯を伸展させる。

メインは後下で、距離遠めの後上と前上にも杭を打つ。
結果的に喉仏の位置はやや高め。
そこからチェストを浅めに張り下げていく、という感じでしょうか。

Rainbow/All Night Long



低く聴こえるhiC(C5)を連発できる発声バランスを見つける。

力加減が絶妙な上に呼気は強めになるはずなので、
適当やってるとすぐに喉を痛めてしまうと思います。



こちらは2019年。

これが71歳のハイトーン……どないなっとんねん!

喉の負担は重めだけど、抜くところは抜いておけば大きな問題はないんでしょう。
四方向ではなくて、十六方向……三十二箇所くらい使い分けられないと、
普通の人が後天的に寄せていくのは難しいと思います。

Impellitteri/Stand In Line



ハイトーンで目を閉じるのは絶対にNG!
というか、目を閉じたくなった時点でグラハム風からは大きく乖離している、と認識してください。

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