レッスン記録008:THRさん

レッスン受講者はTHRさん。身長は169cm。

独学スターターセットをご購入されていますが、
方向性が合っているかどうかが不安で、
あまり熱心には練習していないそうです。

好きな歌手

suisさん
ACAねさん
米津玄師さん

ボイトレの目標

好きな曲を原曲キーで歌いたい

今回の希望内容

高音で裏声になったり張り上げ(?)になるのを改善したい
チューリップ(THRさん)



バランスとしては後下が強い。
声質としては声優の石田彰さんにちょっと似ている。

話し声がソフトで落ち着いた感じのイケボなので、
個人的には「そもそも高い声出す必要ある?」って思わないでもないですが、
適切な方向に引き伸ばせばヨルシカの曲にマッチしそうな雰囲気もあります。

四方向の確認。

前下……問題なし。
前上……良い。
後上……方向は合っているがやや浅い。
後下……方向は合っているが浅い。

後側が不安定な印象ですが、
裏声で歌ってもらうと綺麗に出ています。

緊張していると引っかかることがある、
みたいな状態だと思います。

ミドルボイスとヘッドボイスの拮抗・伸展チェックも問題なし。
何が原因で「高音が苦手」なのかを探っていきます。

米津玄師/Lemon(ヘッド系バランス調整1)



※門外不出の部分は440Hzのトーンでマスクしています。

0:29~

ミドル音域で裏声(後下)に流れています。
前上がヘタレて拮抗が崩れているように聴こえます。

2:18~

このへんの前上の力加減(粘り具合)は「ちょっとの違い」で大違いです。

3:00~

徐々に全体のポジションが上がってきました。
後下に引き負けていますが、方向性はこれで合っています。

3:59~

これ! 引き方としてはこれ!
この拮抗バランスを目標音まで維持するだけです(これが難しいんだけど)。

4:34~

高さが足りないけど良し。

4:47~

高さは足りてるけど惜しい。

米津玄師/Lemon(ヘッド系バランス調整2)



0:08~

前上が引っ込んで、後下は入りっぱなし。
その結果、高音で裏声になる。

1:30~

前側の力が抜けすぎて、地声に戻ってこれない。
裏声アプローチャーにありがち。

2:00~

あ【なーた】

前側(前下)が残りすぎていて、裏返り切れていない。
地声アプローチャーにありがち。

二つのパターンが短時間で切り替わるのは珍しいです。
下側(前下と後下)が優位な状態かもしれません。

これはもしかすると……。

3:00~

だめだ。
やっぱり、前上がヘタれる。

かくなるうえは援軍を呼ぶとしましょう。

3:15~

前上の「一部」に意識を集中。

3:20~

早速きた。

THRさん曰く「使ったことがないところ」らしいです。

3:35~

後下になんとか対抗している感じはありますが、
ああ、やっぱりだめなのか……。

4:05~

志村後ろ!(に負けるな!)

4:22~

あれ?
さらに裏返らなくなった?

前側の相乗刺激効果で前下が過剰反応しているみたいです。

5:03~

比較的スムーズに歌えていますが、
ファルセットではなくて、裏声寄りのミックスから戻ってきています。

ミドルボイスを出そうとした結果なら成功と言えますが……。
うーむ、どうしたものか。

5:12~

あ!
前上も粘れるようになってる!

ファルセット云々は後回しにして、
このチャンスを逃さずに各筋群の連携を馴染ませます。

5:50~

一つ目は良い感じ。

二つ目は少し前側(前下)が頑張りすぎ。

三つ目は前上がすっぽ抜けてる。


油断したら裏返るような状態になって、逆に安心しました。

THRさんの目標を考えると、
間に合わせのハイトーンよりも綺麗なファルセットを維持していくことが重要だと思います。

ヨルシカ/思想犯(全体バランス調整1)



0:00~

前下(+前上)⇔後下。
やっぱり下側が優位なバランスみたいです。

Lemonよりも上手に聴こえますが、
前下と前上の役目が入れ替わるとさらに良いと思います。

0:30~

急に足場が抜けるというか、ちょっと肩透かし。
でも私が聴いたsuisさんの生歌もこんな感じだったかも。

0:35~

現状は前下が強めに使えているので、張り上げ力を調べてみます。

0:45~

後側(後下)の“保護”が手厚いぶん、地声感が抑えられています。
ゴリゴリのハードロックな声を狙うなら要矯正ですが、
女性曲をそれっぽく歌いたいならメリットになります。

1:10~

hiA#(A#4)→hiC(C5)。何気に原曲キー。
張り上げ系の発声バランスはこのままでも良さそうです。

1:30~

主導が前上に移ると不安定になりますが、
これは発声バランスの問題だけではなくて、
この歌い方に慣れていないからだと思います。

ヨルシカ/思想犯(全体バランス調整2)



0:05~

より前上要素が強くなっている。
原曲に近いのはこちらだと思います。

0:15~

キーを下げているのもありますが、だんだん地声側(前下)に寄っています。
後上方向への意識もほんのり必要かもしれません。

0:30~

前下がすっぽ抜けた、というか後下に引き抜かれた感じ。

1:12~1:31

ハイトーンの緊張感が抜けずに喉が上がっている。

2:00~

頭は冷たく、身体は暖かく。
このへんの切り替えは一朝一夕で身につくものではありませんが、
歌唱中に「第三者視点」を意識してみましょう。

2:30~

惜しい。
前下の配分がちょっと足りません。

2:54~

ヘッド系優位でバランス良く発声できています。

3:40~

前下か後下か、地声か裏声か、どちらにも寄ってしまう状態。
もどかしいとは思いますが、その中間を探らなければなりません。

ヨルシカ/言って。(全体バランス調整3)



0:00~

口先発声を意識。
前上の特定部位を上手に使えていますが、
もう少し裏声要素が欲しいところです。

0:45~

ちょっと良い感じ。

1:03~1:16

良い感じ。

1:18~

ハイトーンの意識を引きずらないように。
歌いにくいフレーズは小分けにしてみましょう。

自主練中はキーを下げて「軽く歌ってみる」のもオススメです。

ベルサイユの草(裏声練習)



低めの女性曲であれば「低めの裏声」が活きてくる場面があるはずです。

くもがやける
くさむらに

「く」の位置や強弱に気をつけて練習してみてください。

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