レッスン記録009:杉田さん

レッスン受講者は杉田さん。身長は167cm。

ボイトレ期間は五年以上。
弊ブログを知ってからは半年ほどだそうです。

好きな歌手

森川之雄さん
山田信夫さん
西川貴教さん
小柳ゆきさん
Fukiさん

ボイトレの目標

パワフルでちょっとセクシーな声が出したい

今回の希望内容

おまかせ
T.M.Revolution/Naked arms(杉田さん)



パワフルで煌びやかな歌声。
語尾の処理まで丁寧で艶っぽい歌い回し。

個人的には「ボイトレ受ける意味ある?」と思わないでもないですが、
杉田さんに課題や問題点を伺うと、

・軽く(軟派?)感じて自分の声があまり好きではない
・もっと高い音域(ヘヴィメタルの曲)を力強く歌いたい
・シャウト(奇声の類)が一切出せない
・裏声(?)が綺麗に出せない
・ドスの利いた声を出したい

こうして並べると課題点は多いようですが、
我流でミドル音域まで仕上げている人が「余技」を求めている段階だと思います。

おまかせ、されているので、
重要度(伸びしろ)と習得難度を鑑みて、流れの中でチャレンジしてみます。

それでは四方向の確認。

前下……方向は合っているが、浅い。
前上……問題なし。強い。
後上……問題なし。
後下……問題なし。強い。

ミドル系とヘッド系の拮抗・伸展チェックは良好。
裏声も綺麗に出ているように聴こえますが……?

ANTHEM/WILD ANTHEM(杉田さん)



みっない しゃあああっ(hiE)

華やかに歌えていて素晴らしいのですが、
森川さんや坂本さんに比べると、地声要素が強すぎます。
今まで喉を守ってくれていた「喉締め」に感謝ですね。

hiB(B4)では自然とヘッド要素が入ってきているみたいなので、
もっと気楽にもう少し上を狙ってみます。

ANTHEM/VENOM STRIKE(ヘッド系調整1)



※門外不出の部分は440Hzのトーンでマスクしています。

0:00~

ドス声煽りチェック。

0:12~

ドス声出ない?
普通にやると?

0:15~

hiC#(C#5)で煽ってる!
ご本人的には「わけのわかんない声」らしいですが……。

カッコいいやん。
その声で歌えばいいだけじゃん。

杉田さんはドスボイス(?)に未練がありそうでしたが、
前下方向の意識が確立していないと喉を痛める危険性が高いので、
この段階では「個性の違い」で納得していただきました。

0:23~

後下の重さ(カウンターウェイト)をチェック。

杉田さん的には「歌いづらい」そうですが上手に聴こえます。
上手に歌う意識分の上側関与を差し引いて「重さは十分に備わっている」と判断します。

0:43~

最初の音からずっと高い。
ボーカリストへの配慮が足りない難曲ですが、
語尾に気を配る余裕があるみたいです。

1:55~

hot hot blood

hiC(C5)の三連発。

大丈夫です。
その歌い方で“合ってます”。

杉田さん的には「使えない声」らしいのですが、
そのまま放置していると一生使えるようにはなりません。

ミドル音域のクオリティまで引き上げるのは簡単ではありませんが、
方向性は合っているので、自分の声を育てるつもりで練習してみてください。

ANTHEM/VENOM STRIKE(ヘッド系調整2)



0:00~

裏声感覚で大丈夫! みたいな指導内容ですが、
これは杉田さんが地声側で歌ってきた人だから、
気合よりも脱力の意識が必要な段階の人だからです。

ここで言うところの「裏声感覚」は……。
ムキムキの柔道部員にパンチの打ち方を教える際に、

拳はインパクトの寸前に握るべし!

みたいなアドバイスです。
ムキムキの柔道部員以外は参考にしない方が無難です。

0:55~

あれ?
裏声綺麗に出てません?

杉田さんに尋ねてみたところ、

裏声では歌えない
裏声寄りで歌うことが苦手

みたいなニュアンスだそうです。

なるほど……?
お互いの裏声の概念が違っていたらアレなので、

裏声チェック → ハイトーンシャウト



0:00~

息が漏れすぎて声になっていない。
どこに力を入れればいいのか、自覚できていない?

0:18~

hiD(D5)から。
昔の私の裏声限界音です。

0:28~

まず後上に意識を集中。
次に後上から前下に落としていく意識。

少しアクロバティックな出し方になりますが、
杉田さんの発声バランスにはマッチしているはずです。

0:40~

はい出た。

え? え?
出てるんですか?

はい、出てます。

困惑気味の杉田さんをよそに、
鉄を熱いうちに打ちます。

0:58~

hiF(F5)でほぼシャウト化。

杉田さん「こんな声出したことない……!」

それにしてはブレスアウトがカッコいいです。
困惑を深める杉田さんをやや強引に連れていきます。

1:06~

hiG(G5)。

はい出た。それがハイトーンシャウトです。

このへんの音が最初からサマになっているのは、
地声で頑張ってきた「ご褒美」みたいなものだと思います。

あとは良い感じの力加減を見つけるだけですが、
それまでに何度か喉を痛めることになるかもしれません。

1:23~

hiG#(G#5)。お手本より3つも高い。
一発目よりも裏声寄りだからこそ、シャウトの才能を感じます。

1:29~

今度は前下→後上。
LAメタルでありがち(?)な下からゆっくりと上がっていくタイプ。

1:35~

前下がいまいち掴み切れていませんが、
ここもまあ、時間の問題ではないでしょうか。

ダイジェスト音源なので、無理にシャウトを続けさせているようですが、
喉の状態確認は小まめに行い、休憩も適宜入れています。

本当だよ?

ANTHEM/VENOM STRIKE(シャウト練習+前下調整後)



0:00~

あれ?
裏声で歌えてません?

杉田さん「なんで歌えているのかよくわからない」

自主練中に歌えなくなったら、
この音源を聴き直してみてください。

0:20~

途中まで良い感じ。

0:27~

良い感じ。

0:58~

それで良し。

杉田さん「なんか怒鳴ってる感じ……」

うーん……。
いきなり“絶妙”なんて狙えるわけがないのですが、
一応呼気を調整してみましょうか。

1:05~

リップロールはこういうタイミングで使います。

1:26~

良し!


この後も色々ありまして、
前下の使い方がこなれてきたので再チャレンジ。

LAシャウト+ドスボイス(レッスン終盤)



0:00~

初日でこれはたいしたもの。

出しにくいときはhiD#(D#5)くらいを狙ってみてください。
上手に出せたとしても喉への負荷は小さくないので、シャウトの練習はほどほどに。

0:09~

まるで別人みたいなドスっぷり。

ですが、
少し力みが感じられるので、こちらも出し過ぎには注意です。


何を練習するにしても、喉の違和感を見逃さずに。
力加減が掴めるまでは、普段よりも慎重に取り組んでください。

自主練中の“監視役”はあなた自身です。

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