発声法分析:人見元基(VOW WOW)

VOW WOWのボーカル、人見元基(ひとみ げんき)さん。
東京都のご出身。東京外国語大学をご卒業されています。
一部では「日本史上最高のロックボーカリスト」と評価されているそうです。



神秘のベールに包まれた裏声ミックスの極致。
地声と裏声が繊細かつ緻密に結びついた幻惑の歌声。

強いのは後下と後上と前上。
バランスは前上(+前)⇔後下(+後上)。

0:28~

前上⇔後下⇔後上。

三等分に近いバランスで、中音域からしっかりと伸展。

0:42~

ドーン

前上と前を強めてエッジ感を増量。

0:53~

特徴的なビブラートは下を入れつつちりめん気味に。

0:56~

きゃんごお~ん

hiB(B4)→hiC(C5)→hiB

後下に強く踏み込んだ反動で前上や後上にも気合が入る。結果として強烈に鼻が鳴る。
絶好調時のドン・ドッケンと似たような発声に聴こえます。

日本人離れした声、みたいな評価はこういう響きを指していると思います。
人見さんに寄せたい人はこの響き(バランス)を習得することがマストです。
調子の悪いときのドン・ドッケンみたいに、鼻先だけでふにゃふにゃ歌わないように注意。

1:02~

ここからはやや前上(前側)優位でエッジーな響き。
オブラートのような裏声の響きが控えめになっているのが聴き取れると思います。

1:08~

ちぇみわっ【ちゅっ】うぉ~ん

ラシド【レ】ラ

ここのhiD(D5)は高角度の後上へ。
一瞬で処理して元のバランスに戻っていますが、単体で聴くとほぼ裏声になっています。
フレーズ的に前側で粘ると喉の負担が大きいのでこれが正解。

1:17~

ドシシララソ×2

前上(+前)⇔後下(+後上)

hiCからの下降フレーズ。
安定感と統一感が素晴らしい。

【おー】ぷなっちょどーぅ

【レ】ドシラシ

ここのhiDは基本バランスで踏ん張っている。

1:24~

てっみふりょも【は~っ】

ラシドレ【ミ】

音が上がるほど後上を強めていき、最高音のhiE(E5)はほぼ裏声。
スケール練習みたいなフレーズなので裏声要素の増え方がわかりやすいですね。

1:35~

すろーぜのぉーぅ【あわぁ~い】

レドシ【ファミ】

hiF(F5)→hiE

hi域まみれのサビ終わりにこのハイトーンコンボはボーカリストへの配慮が足りない、と言わざるを得ない。
引き代がなくなって喉が少し締まっていますが、“喉を少し締める”程度で歌い切れる人見さんはすごい。
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