発声法分析:ロニー・ジェイムス・ディオ

レインボーやブラック・サバスの元ボーカル、ロニー・ジェイムス・ディオ(Ronnie James Dio)。
ニューハンプシャーの出身。身長は163cm。
幼少期からトランペットを習っており、たくさんのオペラを聴いて育ったそうです。



強いのは後下。
バランスは前上(+前下)⇔後下(+後上)。

0:46~

ウェンゼアズライッ(ト)ニング

mid2G#→hiA#→hiB

ウェ ゼア ライッ

この三か所をしっかりと発声。hiBは浅めの前下へ踏み込む。
他の音は「歌詞を違和感なく繋ぐだけ」の意識でスタミナを温存しましょう。

ディオ=強い声、みたいなイメージに捕らわれて全音フォルテで行かないように。
寄せたい人は冒頭のフレーズを繰り返して「強調」と「抑揚」の手がかりを掴むべし。

0:49~

下側優位の強い拮抗。
downで後上方向に抜く。

0:54~

コウジッスリィイイ

エンダッシィ

ザリッツミィ

ここも三つに分けてそれぞれ強調する音をしっかりと意識しましょう。
発声バランス的には後下優位です。

0:57~

ズロォッス

後下から後上経由で前上。
前下⇔後上の力関係上「後上経由」という響きの移行になっているので、
前下自体はしっかりと入っています。

ファアアアアアァゥ

前上(+前)⇔後下(+後上)。

比較的前側が強くて、乾いた感じの歪み方。
レッスンだと「エアうがい」や「カラスの遠吠え」のイメージで教えたりもしますが、
力加減がわからない状態で無理をすると簡単に喉を痛めます。

1:01~

アクラァアイ

アウフォ

マァゥジッ

後下から前下経由で前上。
ここは細かい連携を三回繰り返すのではなく、

アクラァアイ(前下付近まで)アウフォ(前まで)マァゥジッ(前上へ到達寸前に伸展解除)

こんな感じで、どっしりと一繋ぎで歌いましょう。

1:10~

イットァズコォーゥ

語尾で後下から後上に抜けていますが、
ここは深めの後下から真上に抜く意識の方が寄せやすいです。

1:12~

真ん中から真下方向に力が入っているが、
後下がしっかりと手綱を引いているので特に問題はなし。
このへんの響きは「後下が超強い人」じゃないと再現は難しいと思います。

1:18~

後下深めに重心を置いたまま、“絶妙に”後上の力を借りつつ前上へ伸展。
最後の一押し(味付け)として、前や浅い前下に踏み込む。

この歌い方を忠実にトレースできればhi域中盤まで、下側の響きを持っていくのが容易になりますが、
後下が浅かったり途中でへたれてしまうと、前上と後上の混同を引き起こす危険性が非常に高くなります。

具体的な症状としては、声が変に上擦ったり喉が締まったりして高音域が歌い辛くなる。
これは10分くらいしか歌ってなくても、パニックを伴って急速に悪化しがちです。

なんかおかしいぞ、と思ったら、いったん練習をストップ!

四方向を確認すると後上の正位置に異常(詰まり・濁り)が出ているはずなので、この異常が収まるまで、
余裕のある音域で、チェストボイスとヘッドボイスをはっきり出し分けてみてください。

焦り(パニック)が異常を助長します。
30分以内に改善しない場合は、明日の自分に任せてみましょう。

4:43~

下の響きが強くて、高く聴こえないハイトーン。
シャウト気味のhiC#もhiBのロングトーンもぼーっと聞いてるとhiA付近に感じます。

ロニー・ジェイムス・ディオはメタルボーカルの開祖のような存在ですが、
癖の強さは歌い回しの個性であり、発声バランス自体は根底に声楽を感じる汎用性が高いものです。

髭男の藤原さんやワンオクのTakaさんあたりとも親和性が高かったりするんですけど……。
でもまあ、藤原さんかTakaさんに直接寄せて行った方が無難でしょうね。
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