効果が疑わしいボイトレ

そこそこ世に広まっている練習法でも私にとっては罠に感じるものがあります。
目指す歌唱スタイルによっては効果的だったりするのかもしれませんけどね。

【エッジボイス(ボーカルフライ)で閉鎖筋群を鍛える】


声門閉鎖の感覚を掴むためには良いですが、閉鎖筋群は鍛えられないと思います。
その理由は閉鎖筋群(各種内喉頭筋)にほとんど負荷がかかっていないからです。
エッジボイスを続けたところでエッジボイスが上手くなるだけです。
閉鎖筋群を鍛えたければセオリー通りに地道にやってください。
しっかりと声門閉鎖してチェストボイスで力強く歌ってください。

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【裏声(ファルセット)で輪状甲状筋を鍛える】


良き漏れの多い声では輪状甲状筋はあまり働きません。
声門閉鎖は最低限でもいいのでミックスボイスを出してください。

声帯が伸展するほど音色はファルセットに近づきますが、
声門閉鎖を解放した息漏れ声とは発声状態が異なります。

空のペットボトルを上げ下げしても筋肉なんて付きません。
喉への負担が軽微で効果が高い練習法なんてないと思ってください。
これに関しては筋トレもボイトレも一緒です。

【一曲通して裏声(ファルセット)で歌う】


ほとんど意味がないと思います。裏声はミックスボイスでも歌声でもありません。
なんとなく想像できるのは「ろくに伸展してないだろうな」ということです。
高音部で喉が締まりそうです。裏声にエッジを塗してもミックスボイスにはなりません。

【腹式呼吸の練習】


練習しなければできないような不自然な呼吸法を歌に使わないでください。
何度も書いてますが重要なのは「呼気のコントロール」です。
確かに「腹式」は安定していますが、瞬発力では「胸式」に敵いません。
ドッグブレス等の吸気を増やす練習は無意味を通り越して逆効果とさえ思えます。
強く深くなんて吸わなくていいですから、「無駄なく吐く」を意識してください。

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【喉仏を触りながら歌う】


ハイラリンクスの防止らしいのですがナンセンスだと思います。
高音で喉仏が上がるのは「当たり前」です。プロ歌手だってみんな上がってます。
喉仏の位置を意識し過ぎると逆効果です。歌に集中してください。

【張り上げでも喉締めでもとにかく高音を出す】


眉を顰めたくなる練習法ですが、才能のある人にとっては効果的だったりします。
目的の高音が出るようになったら「脱力」を心がけて「喉締め」を排除していきます。
声に個性を残したまま力強いミックスボイス(特にミドルボイス)を習得できます。
プロ歌手には多いタイプではないでしょうか。才能のない人が真似をした場合は……。

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