発声におけるベルヌーイの定理

ベルヌーイの定理とは


「流体の速度が増加すると圧力が下がる」という流体力学の基礎です。
風圧や水圧がかかると障害物の周囲に引力が発生するということらしいです。
これが歌や発声に何の関係があるのかというと、風圧と障害物……つまり呼気と声帯です。
適切な呼気を吹き込めば、声帯同士が勝手にくっつくということです。
風圧は強過ぎても弱過ぎてもダメです。適切にコントロールされた呼気が絶対条件です。
声帯もお互いに離れ過ぎていてはダメです。空気が隙間を抜けるだけなので意味がありません。
ベルヌーイの定理が作用する距離まで声帯同士を近づけるのが、各種発声筋群や声門閉鎖筋群の役目でもあります。

A.Steel Dragon/Stand Up(筋肉群だけで強引に声門を閉じた場合)



例えるならドアを力任せに閉めた状態です。
一聴してパワフルですが、声帯同士がぶつかり合ってしまうので健康的ではありません。
音程や響きが不安定になるし喉への負担も大きいです。

B.Steel Dragon/Stand Up(声門閉鎖の締括りを呼気圧に任せた場合)



力加減を調節してドアクローザーに任せた状態です。
ハードロック系の無難なハイトーンですが、無難であるがゆえに喉も平穏無事です。
閉鎖をやや緩めて息を吹く感覚でしょうか。喉を大切に思うのならこちらが正解です。
ハイトーンでガナリ上げても喉が無事なのはベルヌーイのおかげといっても過言ではありません。
脱力状態でも声帯が振動し声が響いてくれるのは、ベルヌーイの定理が作用しているからなのです。

ああ、ベルヌーイに感謝。

珍しく衒学的な内容を扱ってしまいましたが、テストには出ないので覚える必要はないです。
こういうのは発声バランスが整い呼気のコントロールが習熟してくれば自然と実感できる現象なので、
流体力学を熱心に勉強してもあまり意味はないと思います。

関連記事:「適切な呼気量を探そう

響く声や力強い高音を健康的に出したければ、力加減と騒音に気をつけましょうということです。
ドアは途中まで「力強く」最後は「静か」に閉めましょうという意味です。

まあ、AもBもどっちも喧しいですけどね!


追記:

Bではちょっと無難すぎる、弱すぎるって思う人は、
ギリギリまで自分で閉めてみましょう。

C.Steel Dragon/Stand Up(チェスト寄り)



D.Steel Dragon/Stand Up(ヘッド寄り)

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