ファルセットとミックスボイスの違い

ファルセット。「仮声」と訳されますが「偽声」の方が個人的にはしっくりときます。
元々の意味は「歌唱には不適切な声」らしいです。現代だとアクセントとして普通に使いますけどね。
ミックスボイスについてはもう語りません。知りたい人や忘れた人は過去記事を読んでください。
ファルセットとミックスボイス。どちらも高音を出す手段ですが各々の定義は結構あいまいです。
メソッドによっては裏声とファルセットが同じ意味だったり、ファルセットが何種類もあったり……ちょっと面倒な感じになっているようです。

私の定義では息漏れしているかしていないか。つまりは声門が開いているか閉じているかです。
これにも段階をつけていけば無限のファルセットないし裏声が出来上がります。
でも名前なんてつけても意味はないです。全部ひっくるめて「ミックスボイスの出来損ない」です。
論より音源です。息漏れの多寡、閉鎖の強弱で4つに歌い分けてみました。
ミドルボイスとの音量差に注目して聴いてみてください。

A.HY/366日(息漏れ多)



声門の開いた喉を笛のように吹いて音を出す感覚です。
用途は主にアクセントです。息が漏れるのでフレーズが続きません。
私は「これだけ」をファルセットと定義しています。
いわゆるピュアファルセットと呼ばれているものではないでしょうか。

B.HY/366日(息漏れ小)



Aのファルセットからさらに喉を開く感覚です。
閉鎖筋群を動かす意識はないです。喉を開いたら勝手に息漏れが減るって感じでしょうか。
高音部でも呼気は抜けないし、ベルヌーイの定理もそこそこ作用しています。
息漏れはない(少ない)けど閉鎖がちょっと弱い、ミックスボイスの前段階って感じです。
コーディネートファルセットと呼ばれるものかもしれません。

C.HY/366日(裏声寄りのヘッドボイス)



Bに声門閉鎖を加えるとヘッドボイスになります。
後ろに引き込もうとする輪状甲状筋にやんわり抵抗しつつ、前(地声側)に手を伸ばす感覚です。
私の定義ではこの時点でミックスボイスです。呼気の支えが強くなるので声が前に飛びます。

D.HY/366日(地声寄りのヘッドボイス)



Cにさらに声門閉鎖を加える……というよりも閉鎖筋群を総動員して輪状甲状筋のストレッチを途中で押さえつけてしまう感覚です。
胸筋と背筋にしっかりと力を入れて、強い呼気で目標の音程まで張り上げます。
首の筋がヤバイくらい浮き出ますが、喉さえ開けていれば意外と大丈夫です。
音域的にヘッドボイスには違いないのですが、このくらい地声感が出てしまうとミドル持ち上げ(張り上げ)と呼ばれると思います。
声区を半ば無視しているので厳密には正しくない発声法です。

あなたがこのフレーズを歌うとしたら、どのタイプになりますか?
または、どの段階で足踏みしていますか?
原キーが無理な人は適当に下げてください。

【AからBに移行できない人】
喉を開いてください。アクビの喉をキープしてください。
呼気のコントロールも身についていないと思うので、「無駄なく吐く」を強く意識してください。

【BからCに移行できない人】
閉鎖筋群を鍛えてください。声帯を多方向に引く感覚を掴んでください。
覚醒は間近です。喉を開いて歌っているだけでそのうち行けると思います。

【CからDに移行できない人】
閉鎖筋群をさらに鍛えてください。できれば身体も鍛えてください。
条件は揃っているのにDができない人は性格の問題かもしれません。
こんな汚い歌い方はしなくていいので、その優しさを大切にしてください。

【Aができない人】
閉鎖が強いまま固定されていて、それを緩めることができない人です。
そもそも声門閉鎖の感覚が理解できない人かもしれません。
裏声(ファルセット)が出せない。天然ミックスボイスの人に多い特徴だと思います。
おそらくはデフォルトが「適切な緊張状態」だと思うので、ファルセットを出したい場合は「脱力」を通り越して「無気力」を心がけてください。ため息に声を乗せる感覚ですかね。

ちなみに男性がこの曲を歌うとしたらAかBで正解です。
Cでは少し元気が良すぎるし、Dみたいなのは原曲レイプと呼ばれます。
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